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頬にしたたる恋の雨 久我有加 [本・CD]

芸人シリーズ時代編。
昭和頭の大阪です。
今難波グランド花月で、吉本 百年物語やってんな、と余計なこと考えたり。

売れない落語家が、漫才師になる話。
今みたいに、漫才がメジャーではなかった時代の話です。
私は好きです。
灰色の小さい石になってしまったもずさんも団子さんといっしょになってからの百舌さんも。

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ステノグラフィカ 一穂ミチ [本・CD]

国会で働く碧は、その「声」に耳をそばだててしまう。滑舌よく明瞭な声の主は新聞社政治部記者の西口。食堂の定位置―碧の隣のテーブルで忙しなく騒がしく食事して去る彼は、日々をひっそり重ねる碧とはまるで正反対だった。しかしある出来事を境に、西口は碧を何彼と構うようになる。彼の素顔に触れるにつれ、次第に惹かれていく碧だが…。

新聞社シリーズ(?)3作目 政治部新聞記者×衆議院速記者です。
淡々としていますが、西口の出来る姿も情けない姿も、そして碧の料理の腕も魅力的です。

私的にはこの人の本は当たりはずれが大きいです。…んー、なんでだろ。
この新聞社シリーズ1作目is in you(新聞社香港支局長×通訳) 2作目off you go(新聞記者×新聞記者) は現在と過去が入り混じっていたのですが、これは時間軸が現在だけなのでぐいぐい引き込まれました。
off you goは実は読了できず、だらけ行きでした。
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ボールルームへようこそ 竹内知 [本・CD]

絶賛小学館ブーム中。

進路も、何も得意なこともない中学生が、偶然社交ダンスに出会い、のめりこんでいくという話。
いま2巻が発売されたところです。

まだまだへたっぴなんですが、下手なりに成長しているところです。

面白いです。
とにかく読んでみてほしいです。

ちょっと思ったことは、印象が曽田正人っぽい。
主人公がめ組の大吾の大吾っぽいとか、ダンスのシーンが昴の表現に似てるような気がする。
や、タタラ、だだの黒髪ぼさぼさやし。ダンスのスピード感はやっぱあんな感じやん。ダンシング!!(佐々木潤子)とかもそういえばあんな感じやん!!

そんなことを思いながら風呂の中でもう一度読もうと、風呂場にもちこんだら、手が滑り便器に落としてしまいました。(ウチはユニット…orz)今日買ったばかりなのに…。

それはさておき、今後が楽しみです。

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そこをなんとか #6 麻生みこと [本・CD]

兄弁がいなくなった菅原法律事務所。
司法修習生が入ったり、子供(中学生)のケンカに親が出てきて巻き込まれたり、いろいろ切ない放火事件の裁判だったり。
らっこが成長しています。

ちょいちょい出てくる元兄弁東海林の動向とか、矢張り良いですね。

他にもいろいろ弁護士物はあるけど、ゆるゆるした感じが好きです。


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若き検視官の肖像 椹野道流 [本・CD]

椹野さんの新作です。

シリーズになるのかなぁ。

以下amazonのあらすじ
友情と好敵手と、そして骸に乾杯!
晴れて検死官となり意気揚々とするサイラス。だが赴任地では事件の詮議も弔いも、すべてはネクロマンサーに委ねるという。その不思議な業に驚愕するも疑惑を覚えたサイラスは直接対決を意気込むが、ネクロマンサーのヴィンセントは浮世離れした男で、それも空回るばかり。と、そこに殺人事件が発生。サイラスは検死官の必要性を認めさせようと奮起し、死人の語る嘘を暴くが……。 殺人事件の捜査は検死官と薬師、ネクロマンサーにお任せを!!

面白いです。
サイラスとヴィンセント、薬師のエイステン、刑事のウォーベックの掛け合いが面白いです。
ヴィンセントの執事アレクの謎が気になります。

そ・し・て!!
イラストのみやもとさんって、宮本犬丸さんですよねー
嬉しいです。
最近ブログの更新がなかったので、さみしかったんです。
最初は実は気づいていなかったんですけど、あ!!って。


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花咲ける青少年 特別編 2巻 樹なつみ [本・CD]

花鹿の両親の話とルマティの亡命前の話。

Innocence
花鹿の母キティの葬儀から始まり、ハリーが出会いを回想する。
ハリーの身辺警護にNY市警から派遣されたキティを第一秘書として共に過ごすある日、ルマティの父親・ウールドの即位でラギネイに滞在することになる。

若かりしハリーと立人の父親視意に打ち抜かれました。

ウールドに対しては、王宮の奥で死にかけていた時の印象しかなかったので、元気な姿がある意味新鮮。本当は結構早くハリーが兄と知っていたのか…?
ジャビル石油相があのジャビルとなかなか繋がりませんでした。…老いたね…。
俺様系のハリー素敵。キティの辞表で無様にうろたえるハリー。
ハーレクインでも、BLでも萌えるシチュエーションです。
花鹿が言ってた通りハリーはキティにメロメロだったんですね。
視意…。本編に全く出てこなかったと思いますが、立人が総帥だったので、故人なんでしょうね。
眼鏡の美人です。

青皇の庭
ルマティ10歳。侍従試験が行われ、10人の侍従候補生がルマティとソマンドの侍従としてテストを受ける。当時ルマティの侍従は主任侍従カロンと筆頭侍従クインザ、そしてセズンのみ。そこに候補生5人が配属されるのだが、クインザは国王の通訳として出張、カロンはぎっくり腰で入院、セズンが1人でルマティの世話と候補生のテストをすることに…。

とりあえずクインザは怖い。
18歳でも怖すぎる…!!!

まだ続くそうです。次は立人!


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犬ほど素敵な商売はない 榎田尤利 [本・CD]

矢張り名作です。

自覚のあるろくでなしの受は、うだるように暑い夏のある日、会員制のデートクラブ『Pet Lovers』から『犬』として、寡黙で美しい屋敷に派遣される。そこで受を待っていたのは厳格な攻の厳しい躾の日々だった。人でありながら犬扱いされることへの屈辱と羞恥。そして、身体の奥底に感じる正体不明の熱…。次第に深みにはまっていくふたり。

受はネグレクトで母親と死別後、親戚の家を飛び出して、ヒモとか、ホストとかで食いつないで、自分の中を「空っぽ」という自覚があるんですが、その空っぽを攻の執着が埋めていくので、まあ、破れ鍋に綴蓋、的な感じです。

その心境の変化とか、病んでるんですけど、うらやましいと感じます。
個人的にはBLとかいうくくりから離れて、いいと思います。


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夢想監禁 バーバラ片桐 [本・CD]

編集者×作家の監禁ものです。

三泊四日の取材旅行と結婚相手実家への挨拶とで1週間の休暇をとり、作家宅へいった編集者が睡眠薬を盛られ、気がついたら作家の親戚の別荘に1週間監禁されることに。新作の体験取材、と言われ、自分のために料理やマッサージを習って、好きな本やDVDを集めて用意をしている作家に絆される。デビューからの付き合いだが、はたして自分はそこまで作家の好みを知っているのか?作家の方は一目ぼれをしていた担当者と二人きりで、担当者の世話をするということに喜びを感じていた。
5日目、本来なら結婚の挨拶の日、ドタキャンすることにあせる編集者。すれちがうが、実質最終日の6日目一日を過ごし、7日目には編集者を開放し、別荘に閉じこもる作家。
1ヶ月後、結婚を取りやめた編集者のもとに作家からの新作が届く。それを読んで作家のもとに訪れる編集者は…。

と、いった感じです。

後、続編が入っています。

作家はけなげ受けと言うか、電波っていうか、病んでるって言うか。
編集者は嫌がりながらもノリノリでやってます(?)し、バイブ強要してますし。軽くS。
一人称が移り変わりますが、ベテランだから解りやすい。いまどっち?ってことにならないです。
続編は作家の一人称。ハードボイルド作家が絡んできて危機が起きます。
一人称が作家なもんで、編集者の考えがわかんないです。

個人的には同じ作家さんの「ストーカーはじめました。」も病んでて好きです。


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K albam KinKi Kids [本・CD]

初回限定版で購入。

…PV目当てだったんですが、KinKi KISS Single SelectionとKinKi KISS2 Single Selection持っているので、「ね、がんばるよ」までのPVは重複…。いやいやいや、ええねん。

通して見てて、光一さんさほど変化しているように思えませんが(暴言)、剛さんほんとうにいろいろ変わりましたね。ツンツンなのもあれば、アフロとかノンスタ井上みたいなアシンメトリーとか。

PVではビロードの闇でなにか一本書けそうです。
不幸そうなにおいがすき。あはははは。あんはっぴーえんどまにあやわ。

アルバムの方は、安定的な感じです。私は。きみとぼくのなかでがかなりお気に入り。





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作家・羽根くんシリーズ 榎田尤利 [本・CD]

かれこれ3年ほどかかって、やっと揃いました。
出版は2001年なんでかれこれ10年ほど前のものなんですが、榎田さん知ったころにはすでに廃版でした…。だらけとかでなるべく安く、で待ってたんです。

榎田さんの公式には初期の新装版がいろいろ出るそうですが、羽根君は出ないみたいですねー。

ハードボイルドに触れるな
気弱なハードボイルド作家・羽根の悩みは極度の凝り性。そんな羽根を見兼ね、長年の親友であり大手出版社の編集でもある神楽坂がカリスマ整体師・千疋を紹介する。羽根に急接近する千疋に苛立つ神楽坂。ある日、神楽坂は千疋の手で喘ぐ羽根を見てしまい…!! 快感小説登場!

結局どっちともいたしていないんですが、ちょこちょこエピソードが良い。
猫とかそらちゃんとか、子供の時とか。千疋さんもイイね。
っていうか、ゴッドハンドな整体師がダーリンて良い!!うらやましい。

ロマンス作家は騙される
ハードボイルド小説で華々しくデビューした極度の肩凝り作家羽根には恋人候補が二人。一人は大手出版社の編集であり十年来の親友・神楽坂。もう一人はカリスマ整体師・千疋だ。どっちも選べない羽根だが、ふたりもそろそろ我慢が限界!? 恋の勝利者は誰!!

先に何故かこちらを入手。
そう落ち着くかー。って感じでした。
10年前は倫理が厳しかったのカナ。


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イルゲネス~偽翼の交響曲 1 [本・CD]

久しぶりのイルゲネスです。

イルゲネス~黒耀の軌跡~(5)から1年?フォンが3年になっています。
正直新書よりコミカライズの方が面白い。

新入生の女子二人。ロザリンデウザい(…)。ガブリエルはGのひとですね。
新書版のレイはLなんで、H,I,J,Kもいたはずなんだけど、フォンとダニエル・ダンカンくらいしか出てこなかったなぁ。…新書読みなおししないと駄目ですね…。
ギャビィが気になる。

っていうか、若かりしフォンたちが何をしたのかが知りたい。
あー楽しみ


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鋼の錬金術師 11.5巻 [本・CD]

がほしくて、観に行ってきました。

鋼の錬金術師嘆き(ミロス)の丘の聖なる星。

FAに比べて髪が宮崎駿的というか、ハウルの動く城的というか、カリオストロ的というか…。
増田の不細工さに涙。
錬成陣発動中がももももう、天空の城ラピュタ…
「人がごみのようだ…」とつぶやきそうな感じだし。


そんなわけで、ストーリーは…多くは語らない方がいいかもしれません。




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ましろのおと 羅川真里茂 [本・CD]

赤ちゃんと僕以来です。

師匠だった祖父が亡くなり、津軽三味線を続ける意味がわからなくなった澤村雪(せつ)16歳。
津軽から東京に出てきていろいろな人に出会い、雪は自分の音を見つけることができるのか?

現在3巻まで出ています。
地味に好きです。



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月の夜星の朝35ans(4) 本田恵子 [本・CD]

もおおおおおむかつく。

アンタしっかりなさいよ(怒)森村先輩!!
麻衣ちゃんとのこ部長も余計なことしなさんな!!
…つかおなか目立つ前に安定期にならんかね?

りおが上手くいけば麻衣ちゃんが大変なんやね。

以下あらすじ。
九頭竜と撮影に行くりお。ふたたびミラノへ誘われる。
遼太郎はプロバスケのテストを受けることに。遼太郎とりおは復縁するが、またすれ違ってしまうことを恐れるりお。

一方麻衣と森村の結婚は麻衣の妊娠のため挙式延期に。
森村の部下、北岡瑞季は森村の結婚を阻止しようと、いろいろ画策をしかけ、ある日森村が婚姻届を提出しようと半休をとったのを追いかけ、婚姻届を破る。
理由も言わずに入籍を待ってほしいという森村。麻衣と二人はすれ違ってしまう。
そんな中、りおは偶然山田愛子と名乗っていたのが北岡瑞季だということを知る。
森村と新居に住むことが出来ないとりおの家にやってきた麻衣にそのことを伝え、麻衣は森村に頼りたいのではなく、寄り添って生きていくこと、生まれてくる子供にとって、森村がマイナスになるとなったら、シングルマザーとして子供を育てる決意をし、産休に入る。

そして、遼太郎は周平と同じドリームスターズの入団テストに合格し、再びバスケプレーヤーとしての道を歩み、りおは九頭竜を通してイタリア観光文化省の写真展のオファーを受ける。


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…えーっと。
こんな感じです。

聖子ちゃんや小鹿さん、伊吹ちゃんがふつーに出てきてるんですが、なんだかねー。
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セメント樽の中の手紙 [本・CD]

年末に何故か突然思い出しまして、物語が気になって探しました。
めっちゃ短い話ですね。

覚えていたのがすべてといったらすべてなんですが、実際読んでみたら主人公の心情の変化がありました。明日は我が身、と思ったのかな。
ちょっともやもやが晴れてすっきり。
女工の気持ちもよくわかる。
恋人がどうなったのか、知りたいけど知りたくない。
労働者なら気持ちを共有してもらえるかもしれなので、お手紙をください、というのはわかりますね。
ただ、最後の「あなたも御用心なさいませ。」
というところが怖いです。労働者なら手紙をください、で御用心なさいませ、ってことは受け取った人が労働者ということが前提で、んー。言い方悪いけど、会社に殺されないように御用心、ってこと?

小学生の時に道徳の時間に読んだんですが、まあコンクリートになった恋人が怖くて怖くて。
もし、自分が機械に巻き込まれて粉砕されたら…って妄想で怖かったんですよね。

インディ・ジョーンズで飛行機のプロペラに巻き込まれる人とかスパイ大作戦で減圧気の中に入れられて破裂とか人食い鮫に食われるとか得体のしれない宇宙生物に腹を食い破られるとかだめなんだよー。


青空文庫にありました。
以下コピペ

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セメント樽の中の手紙
葉山嘉樹



 松戸与三はセメントあけをやっていた。外の部分は大して目立たなかったけれど、頭の毛と、鼻の下は、セメントで灰色に蔽(おお)われていた。彼は鼻の穴に指を突っ込んで、鉄筋コンクリートのように、鼻毛をしゃちこばらせている、コンクリートを除(と)りたかったのだが一分間に十才ずつ吐き出す、コンクリートミキサーに、間に合わせるためには、とても指を鼻の穴に持って行く間はなかった。
 彼は鼻の穴を気にしながら遂々(とうとう)十一時間、――その間に昼飯と三時休みと二度だけ休みがあったんだが、昼の時は腹の空(す)いてる為めに、も一つはミキサーを掃除していて暇がなかったため、遂々(とうとう)鼻にまで手が届かなかった――の間、鼻を掃除しなかった。彼の鼻は石膏(せっこう)細工の鼻のように硬化したようだった。
 彼が仕舞(しまい)時分に、ヘトヘトになった手で移した、セメントの樽(たる)から小さな木の箱が出た。
「何だろう?」と彼はちょっと不審に思ったが、そんなものに構って居られなかった。彼はシャヴルで、セメン桝(ます)にセメントを量(はか)り込んだ。そして桝(ます)から舟へセメントを空けると又すぐその樽を空けにかかった。
「だが待てよ。セメント樽から箱が出るって法はねえぞ」
 彼は小箱を拾って、腹かけの丼(どんぶり)の中へ投(ほう)り込んだ。箱は軽かった。
「軽い処を見ると、金も入っていねえようだな」
 彼は、考える間もなく次の樽を空け、次の桝を量らねばならなかった。
 ミキサーはやがて空廻(からまわ)りを始めた。コンクリがすんで終業時間になった。
 彼は、ミキサーに引いてあるゴムホースの水で、一(ひ)と先(ま)ず顔や手を洗った。そして弁当箱を首に巻きつけて、一杯飲んで食うことを専門に考えながら、彼の長屋へ帰って行った。発電所は八分通り出来上っていた。夕暗に聳(そび)える恵那山(えなさん)は真っ白に雪を被(かぶ)っていた。汗ばんだ体は、急に凍(こご)えるように冷たさを感じ始めた。彼の通る足下(あしもと)では木曾川の水が白く泡(あわ)を噛(か)んで、吠(ほ)えていた。
「チェッ! やり切れねえなあ、嬶(かかあ)は又腹を膨(ふく)らかしやがったし、……」彼はウヨウヨしている子供のことや、又此寒さを目がけて産(うま)れる子供のことや、滅茶苦茶に産む嬶の事を考えると、全くがっかりしてしまった。
「一円九十銭の日当の中から、日に、五十銭の米を二升食われて、九十銭で着たり、住んだり、箆棒奴(べらぼうめ)! どうして飲めるんだい!」
 が、フト彼は丼の中にある小箱の事を思い出した。彼は箱についてるセメントを、ズボンの尻でこすった。
 箱には何にも書いてなかった。そのくせ、頑丈(がんじょう)に釘づけしてあった。
「思わせ振りしやがらあ、釘づけなんぞにしやがって」
 彼は石の上へ箱を打(ぶ)っ付けた。が、壊われなかったので、此の世の中でも踏みつぶす気になって、自棄(やけ)に踏みつけた。
 彼が拾った小箱の中からは、ボロに包んだ紙切れが出た。それにはこう書いてあった。

 ――私はNセメント会社の、セメント袋を縫う女工です。私の恋人は破砕器(クラッシャー)へ石を入れることを仕事にしていました。そして十月の七日の朝、大きな石を入れる時に、その石と一緒に、クラッシャーの中へ嵌(はま)りました。
 仲間の人たちは、助け出そうとしましたけれど、水の中へ溺(おぼ)れるように、石の下へ私の恋人は沈んで行きました。そして、石と恋人の体とは砕け合って、赤い細い石になって、ベルトの上へ落ちました。ベルトは粉砕筒(ふんさいとう)へ入って行きました。そこで鋼鉄の弾丸と一緒になって、細(こまか)く細く、はげしい音に呪(のろい)の声を叫びながら、砕かれました。そうして焼かれて、立派にセメントとなりました。
 骨も、肉も、魂も、粉々になりました。私の恋人の一切はセメントになってしまいました。残ったものはこの仕事着のボロ許(ばか)りです。私は恋人を入れる袋を縫っています。
 私の恋人はセメントになりました。私はその次の日、この手紙を書いて此樽の中へ、そうと仕舞い込みました。
 あなたは労働者ですか、あなたが労働者だったら、私を可哀相(かわいそう)だと思って、お返事下さい。
 此樽の中のセメントは何に使われましたでしょうか、私はそれが知りとう御座います。
 私の恋人は幾樽のセメントになったでしょうか、そしてどんなに方々へ使われるのでしょうか。あなたは左官屋さんですか、それとも建築屋さんですか。
 私は私の恋人が、劇場の廊下になったり、大きな邸宅の塀(へい)になったりするのを見るに忍びません。ですけれどそれをどうして私に止めることができましょう! あなたが、若し労働者だったら、此セメントを、そんな処に使わないで下さい。
 いいえ、ようございます、どんな処にでも使って下さい。私の恋人は、どんな処に埋められても、その処々によってきっといい事をします。構いませんわ、あの人は気象(きしょう)の確(しっ)かりした人ですから、きっとそれ相当な働きをしますわ。
 あの人は優(やさ)しい、いい人でしたわ。そして確かりした男らしい人でしたわ。未(ま)だ若うございました。二十六になった許(ばか)りでした。あの人はどんなに私を可愛がって呉れたか知れませんでした。それだのに、私はあの人に経帷布(きょうかたびら)を着せる代りに、セメント袋を着せているのですわ! あの人は棺(かん)に入らないで回転窯(かいてんがま)の中へ入ってしまいましたわ。
 私はどうして、あの人を送って行きましょう。あの人は西へも東へも、遠くにも近くにも葬(ほうむ)られているのですもの。
 あなたが、若(も)し労働者だったら、私にお返事下さいね。その代り、私の恋人の着ていた仕事着の裂(きれ)を、あなたに上げます。この手紙を包んであるのがそうなのですよ。この裂には石の粉と、あの人の汗とが浸(し)み込んでいるのですよ。あの人が、この裂の仕事着で、どんなに固く私を抱いて呉れたことでしょう。
 お願いですからね。此セメントを使った月日と、それから委(くわ)しい所書と、どんな場所へ使ったかと、それにあなたのお名前も、御迷惑でなかったら、是非々々お知らせ下さいね。あなたも御用心なさいませ。さようなら。

 松戸与三は、湧(わ)きかえるような、子供たちの騒ぎを身の廻りに覚えた。
 彼は手紙の終りにある住所と名前を見ながら、茶碗に注いであった酒をぐっと一息に呻(あお)った。
「へべれけに酔っ払いてえなあ。そうして何もかも打(ぶ)ち壊して見てえなあ」と怒鳴った。
「へべれけになって暴(あば)れられて堪(たま)るもんですか、子供たちをどうします」
 細君がそう云った。
 彼は、細君の大きな腹の中に七人目の子供を見た。

(大正十五年一月)




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月の夜星の朝35ans(1) 本田恵子 [本・CD]

しょっぱい。

普通の食塩じゃなくて、ぬちまーずとか赤穂の塩とか舐めた感じ(どんなだ)。

えーと。小学生の時に初めてそろえたのが「月の夜星の朝」でした。
叔母の結婚式で同い年の遼太郎と「結婚(キス)」しようと約束したりお。中学バスケットの大会で偶然遼太郎と再会し、くっついたり別れたりを繰り返して、高校へ進学・卒業し、遼太郎はNBAの選手になり、りおと結婚する、という話。
途中がもーうざくて。突然遼太郎の白血病で亡くなった中学の同級生(女)の日記が出版されて、映画になったり、その主役をすることになったアイドルと遼太郎が良い感じになったり、遼太郎の父親とその同級生の母親が再婚して、同級生の妹がグレてみたり、そのグレた妹が遼太郎に良い寄ったり、更生して女優になったり、遼太郎がアメリカにバスケ留学したりと、りおが遼太郎に会いに短期交換留学でアメリカに行ったものの、なかなか会えなかったり、しかも帰国の時に乗る予定だった飛行機が落ちたり、盛りだくさんです。単行本で9巻までなんですが、今思えばありえへんくらいの脱線+もりこみ具合です。

あらすじを思い出しながら書いてて思ったんですが、遼太郎はなかなかりおに、はっきりと好きだといいません。言わなくてもわかってるだろうと思っているのか、それとも本人はそう好きではないのか。…当時の少女漫画の傾向としてはっきりしないタイプの人が多かった(例:ときめきトゥナイトの真壁俊、星の瞳のシルエットの久住くん)。

で、幸せな結婚したはずなのに、しょっぱなから離婚です。
22歳で結婚、遼太郎NBAをけがで引退、28歳でりお流産、りおは写真を認められて、30歳でイタリアへ渡り、35歳で遼太郎から離婚届をエアメールで送られて帰国。その飛行機の中から始まります。

別れることの原因はまぁお互いが悪いんで(キッパリ)、まーしょうがないんですが、遼太郎に腹が立つ。
煮え切らんのよ。むかつくのに続きが気になることにむかつく。
今2巻まで出てますので、明日…今日買いに行きます。
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華と蝙蝠 墨蜘ルル [本・CD]

公式サイトよりあらすじ。
「……閨でだけ、呼ぶのを許してやるよ、俺の本当の名前を……」 江戸・吉原。遊郭の主・蝙蝠のもとに売られてきたのは武家の青年・士郎。美しい顔に何かを秘めた瞳を持った士郎に興味を覚えた蝙蝠は、その無垢な躰を散らそうと考えるが、いきなり手合わせを申し込まれる。そこで、勝てばお前の躰を好きにすると蝙蝠は言い放ち、向き合うが!? 互いに何か秘密を抱え、永き孤独に生きる彼らの、切なくも不器用なほどの烈火の恋!!

えー。新人さんです。
面白かったです。
エロがねちこい雰囲気があって好き。
一人称が蝙蝠と志郎で入れ替わるのですが、章ごとで、蝙蝠1とか志郎2といった感じでついているので、混乱なく読めます。水上ルイさんなんかも、そうですよね。
二つの話と短編と入っています。
一つ目のときにははっきりと蝙蝠の正体は書かれていませんが、二つ目にははっきりします。

蝙蝠の秘密ですが、ばらします。

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永遠の昨日 榎田尤利 [本・CD]

ものごっつ昔の本です。2002年の作品。たまたまBook Offで見つけました。
だらけで1000円買取だったりamazonで2800円で売られてたりするのにー。やったね
いつもと同じ朝、同じ一日…のはずだった。雪の積もる道を学校へと向かう満と浩一のもとに、一台のトラックが突っ込んできた!不条理な日常に翻弄されながらも、かけがえのない想いを確かめあうふたりだったが…。大人気榎田尤利の新境地、衝撃の学園ラブストーリー。
なんです。

いきなり浩一がトラックにはねられて死にます。
頭蓋骨陥没したり、ありえない向きに首や足が向いて、大腿部には激しい裂傷を負います。
が、浩一は何事もなかったように起き上がります。そして満とともに学校へ行きます。

最初はクラスメートに話して、死んでいるけど生きてる死体だということに理解と協力を求めますが、日を追うにつれ、浩一が見えないクラスメートが増えていきます。浩一を失いたくない満の思いが浩一を「生かして」いることにジレンマが…。

いい話です。
最初は軽くスプラッタだけど、榎田さんの得意な明るい感じで話は進んでいきます。
でも、テーマは結構重くて、身近な人が急に亡くなったらどうする?っていうことを巧みに描かれています。

ただ、朝電車で貧血を起こしかけました。浩一の描写を読んでてちょっとリアルに想像してしまいまして。読むのを諦めて「大丈夫だ」と言い聞かせ、電車を降りてすぐに水飲んで、倒れずに済みました。やー、マジで気持ち悪かった~。

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赤の神紋第十四章 桑原水菜 [本・CD]

えー。

読了してから結構経ってしまいました。

赤の神紋完結です。
さっそくサクっとばらしますが、ケイがオーギュストです。

榛原憂月は一体ナニモン?
結局解りません。
なんか変な火傷のあとでるし、ぶっ倒れるし。

響生とケイの今後が気になります。
結局デキてるわけじゃないんだよね…?
本番ヌキでも精神的にがっつりデキてるか。

いい話でした。
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前はマのつく鉄格子 喬林知 [本・CD]

…新刊です。

えー、前回スタツアしかけたときにうっかり長男を巻き込んで海に飲み込まれたところから。
結果有利とムラケンは地球に戻っていません。長男も一緒に眞魔国の裏側(?)にいます。長男のせいではなく、他の何らかの力…つか、もう眞王様しかいませんが、そのせいです。

また有利御一行はよくわからないところで捕まっていますが、三男はギュンとギュンの毛十割から生えた善からぬものの対応中だし、次男は相変わらずの別行動だし、グリ江は凍っているし、例によって例の如く進んでんだか、進んでないんだか?です。

最近は笑えるのか笑えないのか微妙具合に拍車がかかっています。
んー。

次男に多大な期待をしているので、次男の活躍とくさいセリフがないのがつらいです。
んんん?
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